【研究報告】高齢者の高血圧治療に関する臨床研究「ESCORT-HT試験」の追加解析論文が掲載されました
当院(医療法人社団 野村医院)が研究施設として参加した多施設共同臨床研究「ESCORT-HT試験」について、2026年10月、追加解析の論文2報が国際学術誌『Hypertension Research』(日本高血圧学会 英文誌)に掲載されました。院長・野村和至も共著者として名を連ねています。
高齢者の高血圧を対象にしたESCORT-HT試験とは
カルシウム拮抗薬(アムロジピン)を服用しても家庭血圧が十分に下がらない65歳以上の方を対象に、2剤目として「エサキセレノン(MR拮抗薬)」と「ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)」のどちらを追加するかを比較した研究です。全国53施設、約400名の方にご協力いただきました。2026年4月に発表された主論文では、エサキセレノンの降圧効果がARBに劣らないことが示されています。
今回の追加解析でわかったこと
75歳以上の方でも降圧効果と安全性を確認
- 65〜74歳、75歳以上のいずれでも、ARBと同等以上の降圧効果が見られました。
- 75歳以上でも、副作用の頻度が増えることはありませんでした。
- 心臓の負担を表す血液検査値(NT-proBNP)は、エサキセレノンを追加した方で低下しました。
糖尿病のある方では尿中アルブミンが減少
- 2型糖尿病の有無にかかわらず、降圧効果が見られました。
- 糖尿病のある方では、腎臓の負担の指標である尿中アルブミンの減少が確認されました。

院長の所感
MR拮抗薬は、血圧を下げるだけでなく、年齢とともに進みやすい腎臓や心臓へのダメージを和らげることが期待されているお薬です。今回、高齢の方、特に75歳以上の方でも有効性と安全性が確認されたことは、日々の診療にとって大きな意味があると感じています。一方で、12週間という短期間の研究であり、将来の心臓病や腎臓病をどこまで防げるかは、今後の研究で確かめていく必要があります。
ご協力いただいた患者さん、スタッフの皆さまに心より感謝申し上げます。なお、お薬の選択は体の状態(腎機能やカリウム値など)によって異なります。現在のお薬を自己判断で変更せず、気になることは診察時にご相談ください。当院の糖尿病・高血圧の診療については、糖尿病外来のページと医師紹介のページもご覧ください。
掲載論文
- Kario K, et al. Hypertens Res 2026;49:2240–52.
- Kario K, et al. Hypertens Res 2026.(年齢別の追加解析)
- Ohishi M, et al. Hypertens Res 2026.(糖尿病の有無別の追加解析)
(本研究は第一三共株式会社の資金提供により実施されました。臨床研究登録:jRCTs031240300)
